●●● 目次 ●●●
@ 分子の形≪おすすめ≫
A 電気陰性度
B 極性≪おすすめ≫
C 水素結合
<分子の形>
分子には,それぞれ決まった形がある。
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これは,原子が所有する価電子(分子中では共有電子対または非共有電子対)の配置が決まっているからである。
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その原子の価電子の配置は「原子の電子対間の電気的な反発が最小になるような配置」である。(ちなみに,この方法では,共有電子対と非共有電子対,あるいは一重結合と二重結合の間の反発力の違いを考慮しなくてよい。すなわち,これらの間での反発力はみな等しいと仮定する)
↓
ちなみに,電子対間の反発が最小になるような配置は,電子対間の距離が最大となる配置である。
例. 水分子の形
@ 電子対を考える
まず,水(H2O)の電子式より,中心の酸素原子Oには,水素原子Hと結合する共有電子対が2つ,結合に関与しない非共有電子対が2つあることが分かる。
A 電子対の反発を考える
次に,電子対の配置を考える。酸素原子Oのまわりにある電子対間の反発が最小になるような=電子対間の距離が最大となる配置は,中心原子Oを正四面体の中心に置いて,各頂点方向にぞれぞれの電子対が向かい,電子対間の角度が互いに等しくなったときである。
B 分子の形を考える
最後に,2つの電子対の先に水素原子を配置すると,水分子の形が完成する。
このようにして予測されたH2O分子は,折れ曲がった形で,結合角は109.5°である。この形は実験的に知られている水分子の形と同じである。結合角は測定されている値(104.5°)に近い値である。
■■■絶対におさえる構造■■■
●CH4●正四面体
@ 中心Cの電子対は,共有電子対4対→計4対。
A 4つの電子対の配置は,正四面体。
B 4つの電子対の先にHを付ければ,CH4分子完成。
→
●NH3●三角錐
@ 中心のNの電子対は,非共有電子対1対+共有電子対3対→計4対。
A 4つの電子対の配置は,正四面体。
B 3つの電子対の先にHを付ければ,NH3分子完成。
↓
つまり,正四面体の3頂点を使っているので,三角錐。
→
●H2O●折れ線
@ 中心のOの電子対は,非共有電子対2対+共有電子対2対→計4対。
A 4つの電子対の配置は,正四面体。
B 2つの電子対の先にHを付ければ,H2O分子完成。
↓
つまり,正四面体の2頂点を使っているので,折れ線。
→
●CO2●直線
@ 中心のCには,2重結合を形成している電子の集団が2つ→計2つ。
A 2つの電子の集団の配置は,直線。
B 電子対の先にOを付ければ,CO2分子完成。
→
※ やや難しい構造
●C2H4●長方形(平面)
(中心のCは,共有電子対3対(二重1つと単2つ)=計3対で,電子対は三角形)
●C2H2●直線
(中心のCは,共有電子対2対(二重1つと単1つ)=計2対で,電子対は直線)
●BF3●正三角形
(中心のBは,非共有電子対0対+共有電子対3対=計3対で,電子対は正三角形)
●O3●折れ線
(中心のOは,非共有電子対2対+共有電子対1対(二重1つ)=計3対で,電子対は三角形)
●SO2●折れ線
(中心のSは,非共有電子対2対+共有電子対1対(二重1つ)=計3対で,電子対は三角形)
●H3O+●三角錐
H2O分子の非共有電子対にH+が配位結合するので,三角錐。
●NH4+●正四面体
<電気陰性度>
異なる原子が共有結合を形成したとき,それぞれの原子が共有電子対を引き付ける強さを数値で表したものを電気陰性度という。電気陰性度はその値が大きいほど陰性が強いことを示す。
同一周期では,原子番号増加とともに大きくなる(ただし,希ガスは化合物をつくりにくいので,電気陰性度の値はない)。
同族では原子番号の減少とともに大きくなる。
以上よりまとめると,右上ほど大きい。
両原子の電気陰性度の差が大きいほど,結合の極性は大きい。
<極性>
異種原子からなる2原子分子では,共有電子対は陰性の強い原子に少し引き付けられて,共有電子対が両原子に正と負の電荷δ+,δ−を生じて片寄って分布するため,極性を生じて極性分子となる。
しかし,結合に極性があっても,分子が対称的な構造をもつ多原子分子の場合は極性が互いに打ち消し合って無極性分子になる場合もある。
■■■極性の有無の判断法■■■
@ 電気陰性度を比較して,各結合に極性があるか?
A @の偏りが,分子の対称性で分子全体で打ち消すことがないか?
※ 絶対におさえて欲しい
@ H2=無極性(結合に極性がない)
A HF=極性
Fの方がHより電気陰性度が大きいので,共有電子対はFの方に引き付けられている。
B H2O=極性(各結合に極性があり,折れ線構造であるため打ち消されない)
C H2S=極性(各結合に極性があり,折れ線構造であるため打ち消されない)
D NH3=極性(各結合に極性があり,三角錐構造であるため打ち消されない)
E CH4=無極性(各結合に極性があるが,正四面体構造であるため打ち消される)
F CO2=無極性(各結合に極性があるが,直線構造であるため打ち消される)
<水素結合>
電気陰性度のとても大きいF,O,N原子とH原子の結合では大きく分極しており,正電荷を帯びたH原子が,近くの電気陰性度の大きい原子(F,O,N)に近づき,主に静電気的引力に基づく結合を分子間に形成する,これを水素結合。
水素化合物のうち,H2O,NH3,HFの各分子間に水素結合が形成される。なかでも,水分子は1分子当たり水素結合が4か所あり,沸点が最も高い。
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p.s.
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【理論の最新記事】
直線形、正四面体形ときは無極性分子ということですか?
折れ線形や三角錐形のものは、極性分子が多いですが、オゾンなどの同じ原子からできているものなら無極性になります。
直線形や正四面体形も同様に、水素やメタンなどは無極性で、塩化水素やクロロメタンなどは極性になります。
いかがでしょうか?
難しい内容ですので、まだ疑問がありましたら、遠慮なくさらに質問して下さい。