【理論】電子配置と電子軌道
2015年02月25日

【理論】電子配置と電子軌道

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 ●●● 目次 ●●●
 @ 電子配置
 A 希ガス型の電子配置
 B 電子軌道≪おすすめ≫
 C K・Caと遷移元素の電子配置
           ≪おすすめ≫


<電子配置>
 電子が多数ある場合,原子の周りにいくつかの層に分かれて存在している。この層を電子殻という。

 内側からK殻,L殻,M殻,N殻……と呼び,各電子殻に入り得る電子の最大数はそれぞれ2コ,8コ,18コ,32コ……と決まっている。

 K殻,L殻,M殻,N殻……は,アルファベット順で,2コ,8コ,18コ,32コ……は,2n2で表せる。nはK殻ならば1,L殻なら2で計算する。
 K殻は1殻目なので2×12=2
 L殻は2殻目なので2×22=8
 M殻は3殻目なので2×32=18
 N殻は4殻目なので2×42=32

 電子配置1.jpg
電子配置.jpg

1H(総電子数1)(総電子数は原子番号と同じ)
=K(1)
(K殻に1個)

2He(総電子数2)
=K(2)

3Li(総電子数3)
=K(2)L(1)
(K殻に2個,L殻に1個)

4Be(総電子数4)
=K(2)L(2)

5B(総電子数5)
=K(2)L(3)

6C(総電子数6)
=K(2)L(4)

7N(総電子数7)
=K(2)L(5)

8O(総電子数8)
=K(2)L(6)

9F(総電子数9)
=K(2)L(7)

10Ne(総電子数10)
=K(2)L(8)

11Na(総電子数11)
=K(2)L(8)M(1)

12Mg(総電子数12)
=K(2)L(8)M(2)

13Al(総電子数13)
=K(2)L(8)M(3)

14Si(総電子数14)
=K(2)L(8)M(4)

15P(総電子数15)
=K(2)L(8)M(5)

16S(総電子数16)
=K(2)L(8)M(6)

17Cl(総電子数17)
=K(2)L(8)M(7)

18Ar(総電子数18)
=K(2)L(8)M(8)

19K(総電子数19)
=K(2)L(8)M(8)N(1)

20Ca(総電子数20)
=K(2)L(8)M(8)N(2)


 電子は,原則として内側の殻から順に満たされていく。電子の中で,最も外側の電子殻に属する電子を最外殻電子という。

 最外殻電子は,内側の殻の電子と比べてやや不安定で,他の原子などに作用しやすいので,化学的性質に関わりがある。

 最外殻にあり化学的性質などに関わる1〜7個の電子を特に価電子という。

 価電子は,原子価電子ともいい,一般には原子のいちばん外側の電子殻にある電子のことで,原子価や化学的性質を決定しているのでこの名がある。基本的に,化学的性質に関与している電子を,特に価電子と考えるとよい。

1H=K(1)
→最外殻電子1コ,価電子1コ

2He=K(2)
→最外殻電子2コ,価電子0コ

3Li=K(2)L(1)
→最外殻電子1コ,価電子1コ

4Be=K(2)L(2)
→最外殻電子2コ,価電子2コ

5B=K(2)L(3)
→最外殻電子3コ,価電子3コ

6C=K(2)L(4)
→最外殻電子4コ,価電子4コ

7N=K(2)L(5)
→最外殻電子5コ,価電子5コ

8O=K(2)L(6)
→最外殻電子6コ,価電子6コ

9F=K(2)L(7)
→最外殻電子7コ,価電子7コ

10Ne=K(2)L(8)
→最外殻電子8コ,価電子0コ

11Na=K(2)L(8)M(1)
→最外殻電子1コ,価電子1コ

12Mg=K(2)L(8)M(2)
→最外殻電子2コ,価電子2コ

13Al=K(2)L(8)M(3)
→最外殻電子3コ,価電子3コ

14Si=K(2)L(8)M(4)
→最外殻電子4コ,価電子4コ

15P=K(2)L(8)M(5)
→最外殻電子5コ,価電子5コ

16S=K(2)L(8)M(6)
→最外殻電子6コ,価電子6コ

17Cl=K(2)L(8)M(7)
→最外殻電子7コ,価電子7コ

18Ar=K(2)L(8)M(8)
→最外殻電子8コ,価電子0コ

19K=K(2)L(8)M(8)N(1)
→最外殻電子1コ,価電子1コ

20Ca=K(2)L(8)M(8)N(2)
→最外殻電子2コ,価電子2コ


 (典型元素の)最外殻電子数は,族番号の1の位の数字に一致する。価電子数も,基本的には族番号の1の位の数字に一致する(18族は例外で0)。
 1族=最外殻電子1コ,価電子1コ
 2族=最外殻電子2コ,価電子2コ
 13族=最外殻電子3コ,価電子3コ
 14族=最外殻電子4コ,価電子4コ
 15族=最外殻電子5コ,価電子5コ
 16族=最外殻電子6コ,価電子6コ
 17族=最外殻電子7コ,価電子7コ
 18族=最外殻電子2or8コ,価電子0コ
(遷移元素の価電子は,内殻に電子が増加,収容されるため価電子は1〜2個)


 ほとんどの原子は,最外殻に2個あるいは8個の電子を持っていると安定するので,最外殻電子を8個=閉殻(最外殻がK殻の場合は2個)にしようとする傾向があり,そのため他原子と結合したり,イオンになったりする。(最外殻電子が8個だと,空間にバランスよく存在するので安定になる)





<希ガス型の電子配置>
 希ガスは,最外殻にヘリウムなら2個,その他は全て8個の電子を持っており,原子は安定している。
 このように閉殻である希ガス原子は,他の原子に結合しないので価電子は0個とする。最外殻電子数(8個,Heのみ2個)とは一致しないので注意。

●価電子   ……… 0コ 
●最外殻電子 ……… 8コ


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<電子軌道>
 K殻以外の電子殻は,いくつかの電子軌道(副殻)に分けられる。

@ 電子軌道の種類
 電子軌道は,その形状によって,s軌道,p軌道,d軌道…と区別されており,s軌道は球形の軌道,p軌道は亜鈴形の軌道で形は等しく方向性の異なる3つの軌道,d軌道は形と方向性の異なる5つの軌道からなる。
 spd軌道.jpg



A 各電子殻の構成
 各軌道は,それぞれが所属する電子殻から,1s,2s,2p,3s,3p,3d,4s,4p,4d,4f軌道…と区別されている。
●K殻●
 1つのs軌道(1s)のみ。
●L殻●
 1つのs軌道(2s)と,3つのp軌道(2px2py,2pzに分けられる。
●M殻●
 1つのs軌道(3s)と,3つのp軌道(3px3py,3pzと,5つのd軌道(3d)に分けられる。
●N殻●
 1つのs軌道(4s)と,3つのp軌道(4px4py,4pz……に分けられる。



B 規則性
 各電子軌道には自転方向の異なる2個の電子しか入ることはできない。これをパウリの禁制律という。よって,s軌道には1×2=2個,p軌道には3×2=6個,d軌道には5×2=10個の電子しか入れない。(電子は自転しながら各電子軌道を運動している。この電子の自転を電子スピンといい,右回りと左回りがあり,通常,↑および↓の記号で区別する)
 エネルギー準位の等しい軌道に対して,電子は最初,1個ずつ分かれて入る。これをフントの規則という。



@ABより,エネルギー準位の低い電子軌道から順に電子を入れていけば,各原子の詳しい電子配置が書ける。

1H=K(1)
→1s軌道に1個
(M殻)
 3p(  )(  )(  )
 3s(  )
(L殻)
 2p(  )(  )(  )
 2s(  )
(K殻)
 1s(↑ )


2He=K(2)
→1s軌道に2個
 3p(  )(  )(  )
 3s(  )
 2p(  )(  )(  )
 2s(  )
 1s(↑↓)


3Li=K(2)L(1)
→1s軌道に2個,2s軌道に1個
 3p(  )(  )(  )
 3s(  )
 2p(  )(  )(  )
 2s(↑ )
 1s(↑↓)


4Be=K(2)L(2)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個
 3p(  )(  )(  )
 3s(  )
 2p(  )(  )(  )
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


5B=K(2)L(3)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に1個
 3p(  )(  )(  )
 3s(  )
 2p(↑ )(  )(  )
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)

L殻の3コは,2sの2コと2pの1コに分けられる。これが重要

6C=K(2)L(4)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に2個
 3p(  )(  )(  )
 3s(  )
 2p(↑ )(↑ )(  )
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


7N=K(2)L(5)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に3個
 3p(  )(  )(  )
 3s(  )
 2p(↑ )(↑ )(↑ )
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


8O=K(2)L(6)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に4個
 3p(  )(  )(  )
 3s(  )
 2p(↑↓)(↑ )(↑ )
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


9F=K(2)L(7)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に5個
 3p(  )(  )(  )
 3s(  )
 2p(↑↓)(↑↓)(↑ )
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


10Ne=K(2)L(8)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個
 3p(  )(  )(  )
 3s(  )
 2p(↑↓)(↑↓)(↑↓)
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


11Na=K(2)L(8)M(1)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に1個
 3p(  )(  )(  )
 3s(↑ )
 2p(↑↓)(↑↓)(↑↓)
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


12Mg=K(2)L(8)M(2)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個
 3p(  )(  )(  )
 3s(↑↓)
 2p(↑↓)(↑↓)(↑↓)
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


13Al=K(2)L(8)M(3)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に1個
 3p(↑ )(  )(  )
 3s(↑↓)
 2p(↑↓)(↑↓)(↑↓)
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


14Si=K(2)L(8)M(4)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に2個
 3p(↑ )(↑ )(  )
 3s(↑↓)
 2p(↑↓)(↑↓)(↑↓)
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


15P=K(2)L(8)M(5)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に3個
 3p(↑ )(↑ )(↑ )
 3s(↑↓)
 2p(↑↓)(↑↓)(↑↓)
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


16S=K(2)L(8)M(6)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に4個
 3p(↑↓)(↑ )(↑ )
 3s(↑↓)
 2p(↑↓)(↑↓)(↑↓)
 2s(↑↓)

 1s(↑↓)

17Cl=K(2)L(8)M(7)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に5個
 3p(↑↓)(↑↓)(↑ )
 3s(↑↓)
 2p(↑↓)(↑↓)(↑↓)
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)


18Ar=K(2)L(8)M(8)
→1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個
 3p(↑↓)(↑↓)(↑↓)
 3s(↑↓)
 2p(↑↓)(↑↓)(↑↓)
 2s(↑↓)
 1s(↑↓)






<K・Caと遷移元素の電子配置>
 19K,20Caでは,内側から順に3p軌道まで電子が入り,続いてM殻の3d軌道に電子が入りそうだが,M殻の3d軌道よりもN殻の4s軌道の方がわずかにエネルギー準位が低いため,M殻の3d軌道を空にしたまま,N殻の4s軌道へ電子が入る

19K=1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個,3d軌道に1個3d軌道に0個,4s軌道に1個

20Ca=1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個,3d軌道に2個3d軌道に0個,4s軌道に2個

 ゆえに,

19K=K殻2コ,L殻8コ,M殻9コ,M殻8コ,N殻1コ

20Ca=K殻2コ,L殻8コ,M殻10コ,M殻8コ,N殻2コ

となるのである。

さらに続く21Scから30Znまでは,N殻の4p軌道よりエネルギー準位の低いM殻の3d軌道へ電子が入っていく。

21Sc =1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個,3d軌道に1個,4s軌道に2個

22Ti =1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個,3d軌道に2個,4s軌道に2個

23V =1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個,3d軌道に3個,4s軌道に2個

24Cr =1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個,3d軌道に5個,4s軌道に1個

25Mn =1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個,3d軌道に5個,4s軌道に2個

26Fe =1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個,3d軌道に6個,4s軌道に2個

27Co =1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個,3d軌道に7個,4s軌道に2個

28Ni =1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個,3d軌道に8個,4s軌道に2個

29Cu =1s軌道に2個,2s軌道に2個,2p軌道に6個,3s軌道に2個,3p軌道に6個,3d軌道に10個,4s軌道に1個





 上記の要点を確認したら,「Q&A」で腕試し!
 →「Q&A 特選17問!電子配置とイオン」へ





 質問等がありましたら,ご遠慮なくどうぞ。
 「コメント」欄に,ご記入頂ければ,手軽に済むと思います。宜しくお願い致します。





p.s. 
 おかげさまで,理論,有機,無機やpoint,Q&Aなど内容が多種類になってまいりました。ゆえに,皆さんに読みやすく活用頂きたいと思います。
 pointとしては,「カテゴリ」の活用です。
 大変申し訳ありませんが,投稿がバラバラですので,分野ごとにご覧頂けると幸いです。



posted by アボガドロ at 11:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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