酸化還元をマスターするには,
@ 酸化反応,還元反応とは何かを理解します。
A 酸化還元反応を考える為に,酸化数を覚えます。そして,酸化数を用いて反応が酸化反応なのか還元反応なのかを判断できるようにします。
B 酸化還元反応式を書けるようになる為に,半反応式を書けるようにします。そして,それらを組み合わせて酸化還元反応式を書けるようにします。
●●● 目次 ●●●
@ 酸化還元の定義
A 酸化数
B 酸化剤・還元剤
C 半反応式の作り方
D 酸化剤・還元剤の強さ
E 酸化還元反応式の作り方
●●●●●●●●●●
<酸化還元の定義> Cuの粉末を空気中で熱すると,Cuは空気中の酸素と化合してCuOになる。この反応のように,ある物質が酸素と反応したりするとき,その物質は
酸化されたという。
また,熱したCuO に水素を通じると,酸素を奪われて単体のCuになる。この反応のように,酸素の化合物から酸素が奪われたりするときは,その物質は
還元されたという。
@ O原子の授受で判断する時
酸化=O原子を
もらう 2Cu+O
2→2CuO
(Cuは酸化した)
還元=O原子を
はなす CuO+H
2→Cu+H
2O
(CuOは還元した)
これは,考えやすい。「酸」素と「化」合する=「酸化」であり,還元とは「逆」という意味なので「もらう」の逆で「はなす」。
A H原子の授受で判断する時
酸化=H原子を
はなす 還元=H原子を
もらう これは,O原子とH原子の性質を考えれば分かりやすい。O原子は陰性がつよく,H原子は陽性がつよい。つまり,O原子とH原子は真逆の性質なので@の逆。
B e
−の授受で判断する時
酸化=e
−を
はなす 還元=e
−を
もらう これは,O原子は陰性がつよく陰イオンになりやすく,H原子は陽性がつよく陽イオンになりやすいので,O原子と化合した場合(酸化)にその原子は電子をはなし,H原子と化合した場合(還元)にその原子は電子を受け取りやすいと考えれば良い。
●●●要点!●●●●●●●●●●●●●●
中和反応はH
+の授受であり,酸化還元反応はe
−の授受である。
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
C 酸化数の変化で判断する時
酸化=酸化数が
増加 還元=酸化数が
減少 これは,電子を取られた場合(酸化)は「マイナス」のものが減るので「増加」の変化をして,電子を受け取った場合(還元)は「マイナス」のものが増えるので「減少」の変化をすると考えられる。
■■■まとめ■■■■■■■■■■■■■■
@ O原子の授受で判断する時
酸化=O原子を
もらう 還元=O原子を
はなすA H原子の授受で判断する時
酸化=H原子を
はなす 還元=H原子を
もらうB e
−の授受で判断する時
酸化=e
−を
はなす 還元=e
−を
もらうC 酸化数の変化で判断する時
酸化=酸化数が
増加 還元=酸化数が
減少■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
<酸化数> 物質の酸化・還元を統一的に理解するには,反応に際して,原子間でどのような電子の授受がおこったのか,つまり電子の数の増減を明らかにすることが必要となる。
そこで,すべての酸化還元反応に共通して適用できる概念として,物質中の原子やイオンに対して,
酸化数という数値が考えられている。
●●●要点!●●●●●●●●●●●●●●
(詳しい酸化数)
物質が酸素と化合すると,酸素は電気陰性度が強いので,電子を奪われてしまう。つまり,「酸化した」ということは「電子を奪われた」のと同じである。ゆえに,酸化還元反応は,詳しくは,電子の授受である。電子の偏りで判断する。
酸化数=(本来の価電子数)−(偏り後の電子数)
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
@ 化合物中のH原子の酸化数=
+1 化合物中のH原子は,価電子が1個で,かつ電気陰性度が小さいので,電子1個を他に取られている事が多く,電荷的には+1。
A 化合物中のO原子の酸化数=
−2 化合物中のO原子は,価電子が6個で,かつ電気陰性度が大きいので,閉殼になるために電子2個を他から取り入れている事が多く,電荷的には−2。
B 化合物の酸化数の総和=
0 化合物内での、授受の数は等しい。総収支は0。
C 単体中の原子の酸化数=
0 同じ原子間では,当然,電気陰性度は同じなので,電子の偏りがない。
D 単原子イオンの酸化数
=
イオンの価数と同じ イオン化する事は電子の授受であり,酸化還元も電子の授受である。つまり,同一の変化。
E 多原子イオンの酸化数の総和
=
イオンの価数と同じ Dと同様。
■■■まとめ■■■■■■■■■■■■■■
@ 化合物中のH原子の酸化数=
+1A 化合物中のO原子の酸化数=
−2 B 化合物の酸化数の総和=
0C 単体中の原子の酸化数=
0D 単原子イオンの酸化数
=
イオンの価数と同じE 多原子イオンの酸化数の総和
=
イオンの価数と同じ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
上記の@〜Eに基づき酸化数を求める。
■単体■
H
2,N
2,O
2,O
3,F
2,Cl
2などは,Cより0。
■HF■
Hが,@より+1。
Fは,酸化数をxとすれば,H=+1と,Bより総和は0である事から,
(+1)+x=0
という方程式ができる。ゆえに,x=−1。
■HCl■
Hが,@より+1。
Clは,酸化数をxとすれば,H=+1と,Bより総和は0である事から,
(+1)+x=0
という方程式ができる。ゆえに,x=−1。
■NaH■
Naが,基本的には+1と考えて良い。
Hは,NaHのときは例外で−1。
ちなみに,これはNaよりもHの方が電気陰性度が大きいので,Hが電子を奪っている。
■H
2O■
Hは,@より+1。
Oは,Aより−2。
■H
2O
2■
Hは,@より+1。
Oは,H
2O
2のときは例外で−1。
■H
2S■
Hが,@より+1。
Sは,酸化数をxとすれば,H=+1と,Bより総和は0である事から,
(+1)×2+x=0
という方程式ができる。ゆえに,x=−2。
■NH
3■
Hが,@より+1。
Nは,酸化数をxとすれば,H=+1と,Bより総和は0である事から,
x+(+1)×3=0
という方程式ができる。ゆえに,x=−3。
■NO■
Oは,Aより−2。
Nは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Bより総和は0である事から,
x+(−2)=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+2。
■NO
2■
Oは,Aより−2。
Nは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Bより総和は0である事から,
x+(−2)×2=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+4。
■N
2O
4■
Oは,Aより−2。
Nは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Bより総和は0である事から,
x×2+(−2)×4=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+4。
■N
2O
5■
Oは,Aより−2。
Nは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Bより総和は0である事から,
x×2+(−2)×5=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+5。
■SO
2■
Oは,Aより−2。
Sは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Bより総和は0である事から,
x+(−2)×2=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+4。
■SO
3■
Oは,Aより−2。
Sは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Bより総和は0である事から,
x+(−2)×3=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+6。
■HNO
3■
Hが,@より+1。
Oは,Aより−2。
Nは,酸化数をxとすれば,H=+1,O=−2と,Bより総和は0である事から,
(+1)+x+(−2)×3=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+5。
■NO
3−■
Oは,Aより−2。
Nは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Eより総和は電荷と同じである事から,
x+(−2)×3=−1
という方程式ができる。ゆえに,x=+5。
■HNO
2■
Hが,@より+1。
Oは,Aより−2。
Nは,酸化数をxとすれば,H=+1,O=−2と,Bより総和は0である事から,
(+1)+x+(−2)×2=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+3。
■NO
2−■
Oは,Aより−2。
Nは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Eより総和は電荷と同じである事から,
x+(−2)×2=−1
という方程式ができる。ゆえに,x=+3。
■H
2SO
4■
Hが,@より+1。
Oは,Aより−2。
Sは,酸化数をxとすれば,H=+1,O=−2と,Bより総和は0である事から,
(+1)×2+x+(−2)×4=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+6。
■SO
42−■
Oは,Aより−2。
Sは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Eより総和は電荷と同じである事から,
x+(−2)×4=−2
という方程式ができる。ゆえに,x=+6。
■H
2SO
3■
Hが,@より+1。
Oは,Aより−2。
Sは,酸化数をxとすれば,H=+1,O=−2と,Bより総和は0である事から,
(+1)×2+x+(−2)×3=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+4。
■SO
32−■
Oは,Aより−2。
Sは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Eより総和は電荷と同じである事から,
x+(−2)×3=−2
という方程式ができる。ゆえに,x=+4。
■KMnO
4■
Kが,基本的には+1と考えて良い。
Oは,Aより−2。
Mnは,酸化数をxとすれば,K=+1,O=−2と,Bより総和は0である事から,
(+1)+x+(−2)×4=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+7。
■K
2Cr
2O
7■
Kが,基本的には+1と考えて良い。
Oは,Aより−2。
Crは,酸化数をxとすれば,K=+1,O=−2と,Bより総和は0である事から,
(+1)×2+(x)×2+(−2)×7=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+6。
■MnO
2■
Oは,Aより−2。
Mnは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Bより総和は0である事から,
x+(−2)×2=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+4。
■H
2C
2O
4■
Hが,@より+1。
Oは,Aより−2。
Cは,酸化数をxとすれば,H=+1,O=−2と,Bより総和は0である事から,
(+1)×2+(x)×2+(−2)×4=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+3。
■Na
2S
2O
3■
Naが,基本的には+1と考えて良い。
Oは,Aより−2。
Sは,酸化数をxとすれば,H=+1,O=−2と,Bより総和は0である事から,
(+1)×2+(x)×2+(−2)×3=0
という方程式ができる。ゆえに,x=+2。
■S
2O
32−■
Oは,Aより−2。
Sは,酸化数をxとすれば,O=−2と,Eより総和は電荷と同じである事から,
(x)×2+(−2)×3=−2
という方程式ができる。ゆえに,x=+2。
<酸化剤・還元剤> 酸化還元反応において,相手の物質から電子を奪って相手を酸化する(自身は還元反応をする)働きをもつ物質を
酸化剤という。
また,相手の物質に電子を与えて相手を還元する(自身は酸化反応をする)働きをもつ物質を
還元剤という。
ただ,それぞれの反応式をまるまる覚える必要はない。一部分を覚えれば作成できる。(作成方法は下に記す。)
■■■酸化剤■■■
過マンガン酸イオン MnO
4− MnO
4−+8H
++5e
− → Mn
2++4H
2O
酸化マンガン(W) MnO
2 MnO
2+4H
++2e
− → Mn
2++2H
2O
二クロム酸イオン Cr
2O
72− Cr
2O
72−+14H
++6e
− → 2Cr
3++7H
2O
過酸化水素 H
2O
2 H
2O
2+2H
++2e
− → 2H
2O
二酸化硫黄 SO
2 SO
2+4H
++4e
− → S+2H
2O
オゾン O
3 O
3+2H
++2e
− → O
2+H
2O
ハロゲン単体 X
2 X
2+2e
− → 2X
−熱濃硫酸 H
2SO
4 H
2SO
4+2H
++2e
− → SO
2+2H
2O
希硝酸 HNO
3 HNO
3+3H
++3e
− → NO+2H
2O
濃硝酸 HNO
3 HNO
3+H
++e
− → NO
2+H
2O
■■■還元剤■■■
シュウ酸 H
2C
2O
4 H
2C
2O
4 → 2CO
2+2H
++2e
−硫化水素 H
2S
H
2S → S+2H
++2e
−過酸化水素 H
2O
2 H
2O
2 → O
2+2H
++2e
−二酸化硫黄 SO
2 SO
2+2H
2O → SO
42−+4H
++2e
−鉄(U)イオン Fe
2+ Fe
2+ → Fe
3++e
−チオ硫酸イオン S
2O
32− 2S
2O
32− → S
4O
62−+2e
−ハロゲン化物イオン X
− 2X
− → X
2+2e
− ちなみに,過酸化水素 H
2O
2と二酸化硫黄 SO
2は,酸化剤と還元剤の両方の働きが出来る。
<半反応式の作り方> 酸化剤(or還元剤)の半反応式を丸暗記する必要はない。酸化剤(or還元剤)と,その変化物を覚えれば作れる。
@ 酸化剤(or還元剤)と,その変化物を書く。
MnO
4− → Mn
2+A O原子の数が左右両辺においてそれぞれ等しくなるように,H
2Oを入れて調整する。
MnO
4− → Mn
2+ ↓↓↓↓↓
MnO
4− → Mn
2++4H
2O
B H原子の数が左右両辺においてそれぞれ等しくなるように,H
+を入れて調整する。
MnO
4− → Mn
2++4H
2O
↓↓↓↓↓
MnO
4−+8H
+ → Mn
2++4H
2O
C 電荷が左右両辺においてそれぞれ等しくなるように,e
−を入れて調整する。
MnO
4−+8H
+ → Mn
2++4H
2O
↓↓↓↓↓
MnO
4−+8H
++5e
− → Mn
2++4H
2O
上記の@〜Cの手順に沿って半反応式を作成。
■酸化マンガン(W) MnO
2■
覚えるもの,MnO
2 → Mn
2+@ 覚えたものを書く。
↓ MnO
2 → Mn
2+A @ではOが,左辺に2個で右辺に0個なので,H
2Oを右辺に2個加える。
↓ MnO
2 → Mn
2++2H
2O
B AではHが,左辺に0個で右辺に4個なので,H
+を左辺に4個加える。
↓ MnO
2+4H
+ → Mn
2++2H
2O
C Bでは電荷が,左辺が+4で右辺が+2なので,e
−を左辺に2個加える。
MnO
2+4H
++2e
− → Mn
2++2H
2O
■ニクロム酸イオン Cr
2O
72−■
覚えるもの,Cr
2O
72− → 2Cr
3+@ 覚えたものを書く。
↓ Cr
2O
72− → 2Cr
3+A @ではOが,左辺に7個で右辺に0個なので,H
2Oを右辺に7個加える。
↓ Cr
2O
72− → 2Cr
3++7H
2O
B AではHが,左辺に0個で右辺に14個なので,H
+を左辺に14個加える。
↓ Cr
2O
72−+14H
+ → 2Cr
3++7H
2O
C Bでは電荷が,左辺が+12で右辺が+6なので,e
−を左辺に6個加える。
Cr
2O
72−+14H
++6e
− → 2Cr
3++7H
2O
■過酸化水素 H
2O
2■
覚えるもの,H
2O
2 → 2H
2O
@ 覚えたものを書く。
↓ H
2O
2 → 2H
2O
AはO原子は両辺合っているのでとばして,
B @ではHが,左辺に2個で右辺に4個なので,H
+を左辺に2個加える。
↓ H
2O
2+2H
+ → 2H
2O
C Bでは電荷が,左辺が+2で右辺が0なので,e
−を左辺に2個加える。
H
2O
2+2H
++2e
− → 2H
2O
■二酸化硫黄 SO
2■
覚えるもの,SO
2 → S
@ 覚えたものを書く。
↓ SO
2 → S
A @ではOが,左辺に2個で右辺に0個なので,H
2Oを右辺に2個加える。
↓ SO
2 → S+2H
2O
B AではHが,左辺に0個で右辺に4個なので,H
+を左辺に4個加える。
↓ SO
2+4H
+ → S+2H
2O
C Bでは電荷が,左辺が+4で右辺が0なので,e
−を左辺に4個加える。
SO
2+4H
++4e
− → S+2H
2O
■オゾン O
3■
覚えるもの,O
3 → O
2@ 覚えたものを書く。
↓ O
3 → O
2A @ではOが,左辺に3個で右辺に2個なので,H
2Oを右辺に1個加える。
↓ O
3 → O
2+H
2O
B AではHが,左辺に0個で右辺に2個なので,H
+を左辺に2個加える。
↓ O
3+2H
+ → O
2+H
2O
C Bでは電荷が,左辺が+2で右辺が0なので,e
−を左辺に2個加える。
O
3+2H
++2e
− → O
2+H
2O
■ハロゲン単体 X
2■
覚えるもの,X
2 → 2X
−@ 覚えたものを書く。
↓ X
2 → 2X
−ABはとばして
C @では電荷が,左辺が0で右辺が−2なので,e
−を左辺に2個加える。
X
2+2e
− → 2X
−■熱濃硫酸 H
2SO
4■
覚えるもの,H
2SO
4 → SO
2@ 覚えたものを書く。
↓ H
2SO
4 → SO
2A @ではOが,左辺に4個で右辺に2個なので,H
2Oを右辺に2個加える。
↓ H
2SO
4 → SO
2+2H
2O
B AではHが,左辺に2個で右辺に4個なので,H
+を左辺に2個加える。
↓ H
2SO
4+2H
+ → SO
2+2H
2O
C Bでは電荷が,左辺が+2で右辺が0なので,e
−を左辺に2個加える。
H
2SO
4+2H
++2e
− → SO
2+2H
2O
■希硝酸 HNO
3■
覚えるもの,HNO
3 → NO
@ 覚えたものを書く。
↓ HNO
3 → NO
A @ではOが,左辺に3個で右辺に1個なので,H
2Oを右辺に2個加える。
↓ HNO
3 → NO+2H
2O
B AではHが,左辺に1個で右辺に4個なので,H
+を左辺に3個加える。
↓ HNO
3+3H
+ → NO+2H
2O
C Bでは電荷が,左辺が+3で右辺が0なので,e
−を左辺に3個加える。
HNO
3+3H
++3e
− → NO+2H
2O
■濃硝酸 HNO
3■
覚えるもの,HNO
3 → NO
2@ 覚えたものを書く。
↓ HNO
3 → NO
2A @ではOが,左辺に3個で右辺に2個なので,H
2Oを右辺に1個加える。
↓ HNO
3 → NO
2+H
2O
B AではHが,左辺に1個で右辺に2個なので,H
+を左辺に1個加える。
↓ HNO
3+H
+ → NO
2+H
2O
C Bでは電荷が,左辺が+1で右辺が0なので,e
−を左辺に1個加える。
HNO
3+H
++e
− → NO
2+H
2O
■シュウ酸 H
2C
2O
4■
覚えるもの,H
2C
2O
4 → 2CO
2@ 覚えたものを書く。
↓ H
2C
2O
4 → 2CO
2Aはとばして,
B AではHが,左辺に2個で右辺に0個なので,H
+を右辺に2個加える。
↓ H
2C
2O
4 → 2CO
2+2H
+C Bでは電荷が,左辺が0で右辺が+2なので,e
−を右辺に2個加える。
H
2C
2O
4 → 2CO
2+2H
++2e
−■硫化水素 H
2S■
覚えるもの,H
2S → S
@ 覚えたものを書く。
↓ H
2S → S
Aはとばして,
B @ではHが,左辺に2個で右辺に0個なので,H
+を右辺に2個加える。
↓ H
2S → S+2H
+C Bでは電荷が,左辺が0で右辺が+2なので,e
−を右辺に2個加える。
H
2S → S+2H
++2e
−■過酸化水素 H
2O
2■
覚えるもの,H
2O
2 → O
2@ 覚えたものを書く。
↓ H
2O
2 → O
2Aはとばして,
B @ではHが,左辺に2個で右辺に0個なので,H
+を右辺に2個加える。
↓ H
2O
2 → O
2+2H
+C Bでは電荷が,左辺が0で右辺が+2なので,e
−を右辺に2個加える。
H
2O
2 → O
2+2H
++2e
−■二酸化硫黄 SO
2■
覚えるもの,SO
2 → SO
42−@ 覚えたものを書く。
↓ SO
2 → SO
42−A @ではOが,左辺に2個で右辺に4個なので,H
2Oを左辺に2個加える。
↓ SO
2+2H
2O → SO
42−B AではHが,左辺に4個で右辺に0個なので,H
+を右辺に4個加える。
↓ SO
2+2H
2O → SO
42−+4H
+C Bでは電荷が,左辺が0で右辺が+2なので,e
−を右辺に2個加える。
SO
2+2H
2O → SO
42−+4H
++2e
−■鉄(U)イオン Fe
2+■
覚えるもの,Fe
2+ → Fe
3+@ 覚えたものを書く。
↓ Fe
2+ → Fe
3+ABはとばして,
C @では電荷が,左辺が+2で右辺が+3なので,e
−を右辺に1個加える。
Fe
2+ → Fe
3++e
−■チオ硫酸イオン S
2O
32−■
覚えるもの,2S
2O
32− → S
4O
62−@ 覚えたものを書く。
↓ 2S
2O
32− → S
4O
62−ABはとばして,
C @では電荷が,左辺が−4で右辺が−2なので,e
−を右辺に2個加える。
2S
2O
32− → S
4O
62−+2e
−■ハロゲン化物イオン X
−■
覚えるもの,2X
− → X
2@ 覚えたものを書く。
↓ 2X
− → X
2ABはとばして,
C @では電荷が,左辺が−2で右辺が0なので,e
−を右辺に2個加える。
2X
− → X
2+2e
−<酸化剤・還元剤の強さ> 還元剤(右に進む反応)の強さは,上ほど強い。また,酸化剤(左に進む反応)の強さは,下ほど強い。
Li ⇄ Li
++e
− K ⇄ K
++e
− Ba ⇄ Ba
2++2e
− Sr ⇄ Sr
2++2e
− Ca ⇄ Ca
2++2e
− Na ⇄ Na
++e
− Mg ⇄ Mg
2++2e
− Al ⇄ Al
3++3e
− Zn ⇄ Zn
2++2e
− (COOH)
2 ⇄ 2CO
2+2H
++2e
− Fe ⇄ Fe
2++2e
− Pb+SO
42− ⇄ PbSO
4+2e
− Ni ⇄ Ni
2++2e
− Sn ⇄ Sn
2++2e
− Pb ⇄ Pb
2++2e
− H
2 ⇄ 2H
++2e
− 2S
2O
32− ⇄ S
4O
62−+2e
− H
2S ⇄ S+2H
++2e
− Sn
2+ ⇄ Sn
4++2e
− SO
2+2H
2O ⇄ SO
42−+4H
++2e
− Cu ⇄ Cu
2++2e
− 4OH
− ⇄ O
2+2H
2O+4e
− 2I
− ⇄ I
2+2e
− MnO
2+4OH
− ⇄ MnO
4−+2H
2O+3e
− H
2O
2 ⇄ O
2+2H
++2e
− Fe
2+ ⇄ Fe
3++e
− 2Hg ⇄ Hg
22++2e
− NO
2+H
2O ⇄ NO
3−+2H
++e
− Cl
−+2OH
− ⇄ ClO
−+H
2O+2e
− NO+2H
2O ⇄ NO
3−+4H
++3e
− 2Br
− ⇄ Br
2+2e
− Mn
2++2H
2O ⇄ MnO
2+4H
++2e
− 2Cr
2++7H
2O ⇄ Cr
2O
72−+14H
++6e
− 2Cl
− ⇄ Cl
2+2e
− Mn
2++4H
2O ⇄ MnO
4−+8H
++5e
− Cl
2+2H
2O ⇄ 2HClO+2H
++2e
− PbSO
4+2H
2O⇄PbO
2+SO
42−+4H
++2e
− 2H
2O ⇄ H
2O
2+2H
++2e
− O
2+H
2O ⇄ O
3+2H
++2e
− 2F
− ⇄ F
2+2e
−<酸化還元反応式の作り方> 酸化還元反応式は,酸化剤および還元剤のそれぞれ単独の電子の半反応式を合わせることでできる。
還元剤から放出された電子が単独で遊離した状態は想定されず,還元剤が電子を放出すると同時に酸化剤がこの電子を受け取る。すなわち,酸化と還元は必ず同時に起こる。
酸化剤+e
− → 還元生成物…@
還元剤 → 酸化生成物+e
−…A
@+A
酸化剤+還元剤 → 酸化還元生成物
一般に,酸化剤には酸化された状態にある元素が含まれ,逆に還元剤には還元された状態にある元素が含まれている。ゆえに,それらの元素が個々の安定な酸化数となるように,酸化剤と還元剤の間で電子の授受が行われる。
■硫酸酸性過マンガン酸カリウムと硫酸鉄(U)との反応■
@ 酸化剤を記す。
MnO
4−+8H
++5e
− → Mn
2++4H
2O
A 還元剤を記す。
Fe
2+ → Fe
3++e
−B e
−に着目して,両式を合わせる。
@+A×5
MnO
4−+8H
++5e
− → Mn
2++4H
2O
+
5Fe
2+ → 5Fe
3++5e
− ↓
MnO
4−+8H
++5Fe
2+ → Mn
2++4H
2O+5Fe
3+C
足りないものを補い,反応式を作成する。 問われているのは,硫酸酸性過マンガン酸カリウムと硫酸鉄(U)との反応なので,KMnO4とH2SO4とFeSO4の反応式を記す。ゆえに,
MnO
4−→KMnO
4(K+を補う) H
+→H
2SO
4(SO42−を補う) Fe
2+→FeSO
4(SO42−を補う)MnO
4−+8H
++5Fe
2+ +K++4SO42−+5SO42− → Mn
2++4H
2O+5Fe
3+ +K++4SO42−+5SO42− ↓
補ったものを用いて,KMnO
4とH
2SO
4とFeSO
4の反応式にする。右辺は+と−のものを合わせる。
KMnO
4+4H
2SO
4+5FeSO
4 → MnSO
4+1/2K
2SO
4+4H
2O+5/2Fe
2(SO
4)
3 ↓
係数が分数(1/2)になっているものがあるので,両辺を2倍する。
2KMnO
4+8H
2SO
4+10FeSO
4 → 2MnSO
4+K
2SO
4+8H
2O+5Fe
2(SO
4)
3■硫酸酸性過マンガン酸カリウムとシュウ酸との反応■
@ 酸化剤を記す。
MnO
4−+8H
++5e
− → Mn
2++4H
2O
A 還元剤を記す。
H
2C
2O
4 → 2CO
2+2H
++2e
−B e
−に着目して,両式を合わせる。
@×2+A×5
2MnO
4−+16H
++10e
− → 2Mn
2++8H
2O
+
5H
2C
2O
4 → 10CO
2+10H
++10e
− ↓
2MnO
4−+6H
++5H
2C
2O
4 → 2Mn
2++8H
2O+10CO
2C
足りないものを補い,反応式を作成する。 問われているのは,硫酸酸性過マンガン酸カリウムとシュウ酸との反応なので,KMnO4とH2SO4とH2C2O4の反応式を記す。ゆえに,
2MnO
4−+6H
++5H
2C
2O
4+2K++3SO42− → 2Mn
2++8H
2O+10CO
2+2K++3SO42− ↓
2KMnO
4+3H
2SO
4+5H
2C
2O
4 → 2MnSO
4+8H
2O+10CO
2+K
2SO
4<過マンガン酸カリウム滴定> 過マンガン酸カリウム水溶液を用いる滴定である。
過マンガン酸イオンは酸化剤であり,酸性水溶液中では還元剤と次のように反応する。
MnO
4−+8H
++5e
− → Mn
2++4H
2O
水溶液中でMnO
4−は赤紫色を示し,Mn
2+はほとんど無色であるから,水溶液の色の変化によって終点がわかる。普通,ビュレットから過マンガン酸カリウム水溶液を滴下していくので,還元剤が残っているうちは滴下したMnO
4−の色が消えるが,還元剤がすべて酸化されると滴下したMnO
4−の色が消えずに残る。したがって,MnO
4−の赤紫色が消えなくなり,水溶液がわずかに赤紫色に着色した点を滴定の終点とする。
質問等がありましたら,ご遠慮なくどうぞ。
「コメント」欄に,ご記入頂ければ,手軽に済むと思います。宜しくお願い致します。
p.s.
おかげさまで,理論,有機,無機やpoint,Q&Aなど内容が多種類になってまいりました。ゆえに,皆さんにより良く活用頂きたいと思います。
pointとしては,「カテゴリ」の活用です。
大変申し訳ありませんが,投稿がバラバラですので,分野ごとにご覧頂けると幸いです。